2012年8月21日火曜日

例の問題シーンについて。少々。


沢山のお客様からの感想をいただき、心より感謝しております。

今回の作品の中で、とあるシーンについての「あまりにも心が痛くなりました」という感想を
いくつかいただき、とても難しいシーンのため説明というよりも、
私のそのシーンに対する想いを少々書いてみようかと。




今回乾さんがメインの無言劇みたいなシーンは「HUMAN」と名付けていて、
あえて人間の嫌な部分にフォーカスをあてたものでした。

私は人間の感情の中で、人をねたんだりうらやましがったりする感情が一番キライで、
自分もそういう要素を排除したいって願いながら日々生活していますが、
そこまでハッキリ思って毎日生きてても、現実にそのような感情は沸き起こってくるわけです。
実際に子供の頃、かなり「いじめとはか、絶対にイケナイ!」って思って生活してたタイプなのに、
ある時あまりにもしつこくしてくる知的障害ぎみの子に「耳の中汚い!!!」って言ってしまった自分がいたりして。
そんな事を言ってしまう自分の一部分を許せないと思い続けていると同時に、今思えばそんな感情も人間の要素なのだと。
その知的障害の子からしたら、いつも味方なはずの私からそんな事を言われて本当にショックだったと思うんですが。

ある時そんな人間の嫌な要素ですら、人間ってものがそもそも備えているスキル(性?)なのだと、ふと思ったわけです。
嫌な感情は絶対に消えないんだって。
だから昔から人類は小さくは個人間の争いから大きくは国同士の戦争を繰り返してしまうんだ。

「肯定」はしないけど、その要素を持っているのが人間ってことを「自覚」しなきゃいけない。
それを自覚した上でその沸き起こった感情をどうしていくのか。





今までの試作ではかなり踊りメインで展開しててその嫌な部分てのはもっとお茶を濁してきましたが、
人間の嫌な部分だけを露骨に客観的に見たとき、
見た人の中で自分の中の嫌な部分がフィードバックするのではという思いで、あえてその様なシーンを作ったわけです。
今回の完成版では他のシーンで充分踊りでの表現をする事ができたので、このシーンは本質的な部分だけにチャレンジしました。
なのでいじめを描きたかったとか、そういうのではなく、(結果的にそう見えることは重々承知で)
「いい顔して、でも肝心な所で突き放す」とか
「母性の様に感じてても、一個の嫌悪感から拒絶が始まる」とか
「ちょっとしたことなのに、大きく捕らえて被害者ぶる」とか
「分かり合えると思ったのに、それぞれの方向性が違ったために、結局相手を振り回す」とかとか
そんな一個一個の設定でジェスチャーを創り上げ展開しました。
そしてそれらの対象となった乾さんは最終的に自ら人との距離をシャットアウトしていくという感じになりました
そしてその立場は、いつ何時入れ変わるかは分かりません。
日常の中で、生きている限り全ての人にある状態だと思います。





目の前につなみがきた時に、自分の命よりも人の命を助ようとするのも人間だし、
我先にと人を蹴落としてでも生きようとするのも人間。
どちらが良い人とか、悪い人とか、わかりません。
どちらも誰しもが備えている感情であろうと。
どうしてもいい部分だけ表現しがちだけど、あえて今回チャレンジしました。

ちなみにこのシーンの圧迫感、息苦しさをお客様と共有できたらと、「空調を切る」という演出も施しました。


705 / 菊地

2012年8月20日月曜日

作品後記|実はまだ終わっていない


文章:飯名尚人

まだ終わってない、なんて書くと出演ダンサーたちは「えー、まだあんな過酷なリハーサルが続くのか」と思うかもしれません。なにしろダンサーにとって休むヒマの無い作品でしたから。

僕は、その作品が上演し終わったあとに、実は作品が始まる、と思っています。そうでなければいけないと思っています。作り手としては、そういう作品を観客のみなさんに提供しないといけないと思っています。なかなかそこまでのレベルに自分が作家として到達出来ていない、という焦燥感もありながらも、そういう理想と目標を掲げています。

この作品『境界線上のヘヴン』の中の物語は、上演時間1時間40分の中で、演出上の始まりがあって、演出上の終わりがありますが、その先は実はまだまだ終わっていない物語が続きます。特に『境界線上のヘヴン』で抱えたテーマが、「天国すら疑ってみる」という「疑い」であって、すべての疑いが晴れるまで延々と自問自答が続くわけです。

この作品での僕の役割は「共同演出・映像」です。3つの映像作品を事前に作りました。プロモーションビデオと称していますが、実は、映像作品を作ったつもりです。観た人も観てない人もいるかもしれないですが、この3つの映像の中のイメージは、舞台上で描かれる世界の予兆です。パラレルワールドとでもいうか、同じ世界でもあって、わずかにズレた世界でもあります。舞台を見終わってから観ると、また印象が違うのではないかと思います。




共同演出という役割として、まずやるべきことのひとつに「作品の"作り方"をどう演出するか」でした。「天国対談」にも書きましたが、演出家が2人いる、というこの作品で、僕がしないといけないことは、コンセプトを作ることと、そのコンセプトを死守すること、でした。共存できる太い軸が必要だったからです。同時に、尚子さんの描きたい世界、伝えたい世界をダンスだけでないところに向かうように仕組むことでもありました。ダンス作品なんだけど、ダンスだけで語らないようにしたかったからです。ダンスを内包した世界、を作り出したかったから、照明、音楽という空気のようなメディアの中に、ダンスをぽつんと置く、ということ、そんな作品を実現するにはどんな作り方がいいのだろうか、と思い、そんなような話を尚子さんと長く話し合ったことを思い出します。尚子さんとダンス演出の中に沢山の余白を作りながら、リハーサルを進めて来たように思います。僕個人としては、もっと余白を!と感じたのも事実ですが、自分にブレーキをかけた部分もあります。705 Moving Co.の魅力を壊す必要を感じなかったからです。それをコラボレーション(共同制作作業)の妥協という人もいるかもしれませんけど、個人的な過剰な主張がすべてを壊すこともあります。しかし、自分の提示したコンセプトは死守しないといけない、というこのジレンマが毎回のリハーサル中の葛藤でした。本番前日、劇場でのリハーサルで、ダンス、音、照明、衣装が合体したものを観たときに、死守したコンセプトがそこに見えたという確信がありました。


本作で描こうとしたものは何かと、上演後に改めて考えてみると、演出家、出演者、照明、音、衣装、ダンスミストレス、、、といった関わったメンバーそれぞれに解釈が異なっていると思います。ラストシーンはどんな意味があるのか、という質問を全員にしたら、きっと全員違うことを言うと思います。それでいい、それがいいと思います。尚子さんと僕とでも違うかもしれない。おそらく違う。だとしても、確実にひとつの世界がそこには描かれている、そういう作品になったと思います。

主観的に、あくまでも個人の解釈としてあえて言いますと、僕が本作で描きたかったのは、「人は何を信じて生きているのだろうか、生きていくべきだろうか」ということでした。いうなれば「信仰心」でした。尚子さんからのお題は「天国すら疑ってみる」「幸福と不幸、安定と不安定についての考察」というものだったので、それを受けて、クリエイションが始まる前に、僕から尚子さんに「創作ノート|整理してしまう前の雑多なイメージを残しておくためのノート。言っていることとやっていることが違わないようにするためのノート。」を渡しました。そこに書かれている内容すべてが、共同演出する際、結果的に僕が死守したものになりました。すべてのメンバーが、こういった各自の解釈、各自で死守すべきもの、というものを抱えて、クリエイションが進んでいたように思います。だから作品の中で、ここは尚子さんのアイディアで、ここは僕のアイディアで、これは、、、というような区別が、もう分からなくなりました。いろいろな解釈が入り交じって、ビジュアル化された作品になったと思います。そういう作品が僕は好きです。

客観的に、ひとりの観客として客席から本番を観ていて、観客としての僕の感想は「日本は、世界は、こういうモヤモヤした不確定な状態なんじゃないか。この作品は、世界や人々の心のモヤモヤをビジュアル化したのではないか」というものです。よく聞く「安全神話」というものが、どんどん崩壊しています。ユーロも原発も、食品の賞味期限も、原産地でさえ疑わしい時代です。だからこそ個々人で、自分の所在と思想を明確にしないといけない。「自分はどうすべきなのか」を自分で決めないといけない。本作の最後が「希望」という印象に見えるのは、希望のある世界を観客である僕が望んだからなのではないかと思います。救い、というものです。子供たちが後ろ向いて座り、大人たちも後ろを向いて立っているのは、今の自分や世界を否定しつつも、まだ見えない向こう側をじっと見続けているという現れなのではないかと。この世界に救いが無いわけがない、と僕は思うからです。そういう意味での希望と、念です。


この作品を再演できるとしたら、このまま再演はしたくないな、と思います。すでに、「もっとこうしてみたらどうだろうか」とか、「こうすればよかったのかも」とか、今更ですが「あー、わかった、そういう意味か」とか、、、、新しいアイディアがあるからです。まだ終わってないなぁ、と思うのです。

というわけで、再演バージョンの『境界線上のヘヴン』をまた披露できればと。


(2012年8月19日)


2012年8月17日金曜日

出演者 坂木眞司さんについて。

本日、とうとう初日をむかえます「境界線上のヘヴン」。


最後のご紹介となりますのは、大尊敬の坂木眞司さんについて。



























私が若い頃から舞台で目にしてきた坂木さんは
素晴らしいダンスと存在感の方でして、
いつか一緒に踊れる日が来ないかしらと、夢みておりました。


そして約10年ほど前。
私がNYで修行中、たくさんのチャンスと経験をする事ができるNYで、
この先の人生を生きて行くか、または日本に帰って地に足をつけて
自分の世界を構築するべく創作活動にいそしむか、
心底悩んでいた時期がありました。

そんな折り、日本からとある作品の出演オファーがきました。
その時の出演者の中に、坂木さんの名前がありました。
!!!!!
ああ、日本に帰ろう。と決心した瞬間です。


帰国後、まさかの第一回目の705カンパニー公演にも坂木さんに出演していただき、
念願のデュエットも踊れました。
リハーサルに向かう姿勢や、奥様とのささやかな日常の話など
坂木さんのおちゃめだけと誠実な人柄を知ることができ、
それら全てが坂木さんの魅力となってあの崇高なダンスと存在感になるのだなと
感じることができました。


そして数年前、ある作品に坂木さんが出演されているとのことで見に行きました。
その坂木さんの素晴らしさに圧倒され、私は大号泣をしながら終演と同時に
「坂木さんは日本一のダンサーだ!!坂木さんは日本一のダンサーだ!!!!」
とお友達に電話しておりました。


今回、リハーサルに入る前、共同演出の飯名氏とのミーティング中、
「二人のシーンは尚子さんにとって何なのだろう?」
と聞かれました。
すぐ自分の口から出た言葉は、「希望」です。
私の個人的な想いを込めたシーンを、尊敬する坂木さんにやっていただけること
再び私の作品に出演していただけること、
私にとってこの上ないありがたい機会となりました。

坂木さん、どうぞよろしくお願いいたします。

またご来場のお客様、心よりお待ちしております。


705 / 菊地


2012年8月16日木曜日

出演者 池田美佳さんが日記を書いてくれました!

【旅路の出発に向けて】

7年前、新国立劇場にたまたま観に行った公演で踊っていた尚子さんは、

ちょうどNYから帰国したばかりでした。
その時見た尚子さんは、まさに「疾走感」という言葉がぴったりで、
爆発的なエネルギーを持ったそのダンスに衝撃を受け、
目が釘付けになったのを今でも鮮明に覚えています。

そこから現在まで、レッスンやいくつかの作品に関わらせていただきましたが、
気づいたら今回の出演者で一番705歴が長い!?ということに…(驚)
しかしながら、705ムーブメントは奥が深く、
何年経っても完全に習得することが難しい。。
さらに今回の作品では、ムーブメントのさらに先、
作品の中に個々がどう存在するかということがいつも以上に重要な課題であったので、
リハーサル中はずっと悶々と身体と心の葛藤を繰り返してきました。
単なる動きのコピーではなく、それを自分なりのムーブメントに昇華させた上で、
この作品の世界の一員となり、そこにきちんと存在することができるように… 
ミストレスの友さんやさっちゃんの力を借りながら皆で積み上げてきたものが、
舞台で ひとつの力になれることを楽しみに本番に挑みたいと思います。

今回この「境界線上のヘヴン」に付いている ¨天国すら疑ってみる。¨というキャッチフレーズが私は好きで、

一般的に天国と思われているようなことも当人にとっては実は地獄だったりするかもしれないし、
その逆も然り、つまり辛い事も見方を変えれば幸せに思えたりする。
あらためて、この作品と向き合いながら、自分にとっての天国ってなんだろうと考えた時に、
辛いながらも あぁでもない、こうでもないと踊りや作品と向き合って闘っている、
まさにこの時間なのかもしれないなぁと。。

何を境界線にするか、その先になにがあるのか。

そこは越えたい線なのか、越えてはいけない線なのか… 妄想が広がります。
踊っていても毎回、その時に湧き起こる感情によって目の前の境界線が変わったりするので、
本番も、自分がどんな気持ちでその境界に立っているだろう、
それが観ている人にはどう見えるだろうと思うと色々と楽しみです。

始まったら出っぱなしの90分、ダンサーにとっては体力と精神力との限界に挑戦ですが(笑)、
その長い旅路を観ているお客様と私たちとで色々と妄想を膨らませながら
楽しい航海が出来たらなぁと思っています。

応援よろしくお願いします!

池田美佳



☆☆☆☆☆☆☆


私なりの池田美佳ちゃんについて、たくさん書こうかと思っていたのですが、
美佳ちゃんの日記を読んで、ひとまず何よりも、

「今回90分を通して、いろんなみかりんを見てください」という感じです。

人には色んな面があってしかり。

舞台上でみかりんの中から溢れ出す色んな面を感じていただけたら。

そんなみかりんのダンスと表現をお楽しみに!!


















































705/菊地

2012年8月15日水曜日

出演者 菅原はる菜さんが日記を書いてくれました。


この4ヶ月の間、みんなでたくさん積み上げてきた時間は、
私の中で素敵な宝物となりました。
支えて頂いたみなさまに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

朝から晩まで共に駆け抜けたダンサーのみなさん。
何度も足を運んで下さったスタッフの方々。
飯名さん、さつ、ともさん。
そして尚子先生。
本当にありがとうございます。

たくさん熱い想いはあるのですが、文章にするのが得意ではないので、
是非舞台を観て感じていただけたらと思います。

素晴らしい世界をたくさんの方に観て頂きたいです。

菅原 はる菜



☆☆☆☆☆☆

【地獄からの復活】

はるちゃんは数年前、レッスン中に膝を壊してしまい、
夜スタジオから救急車で運ばれていきました。
あの時の、はるちゃんの痛みに泣き叫ぶ姿を思い出すと、
いまだに心が痛くなります。

その後地獄の様なリハビリを経て、
はるちゃんは半年後から復活を目指しました。
踊れない分、足を鍛える為に毎日3〜4時間歩いていると
その当時言ってたのを覚えています。

きっと、踊りをやめようかと本気で悩んだ事と思います。
前の様に踊れるかどうか、本当に不安だったと思います。

それでも奇跡の復活を遂げ、前回のカンパニー公演では皆と何も変わらず
はるちゃんは舞台の上で全力で踊っていました。














とにかく普段から研究熱心な、はるちゃん。
その熱心さに、私はいつも頭が下がる想いです。

その日々の努力の成果が、みるみると動き方の進化とつながり、
正直今のはるちゃんのダンスは止まる気配を感じません。
まさに705ムーブメントを取得し、
身体を自在に操れるようになってきています。















そしてその身体に追いつくかの様に、今回の作品を通じて
表現もじわじわじわじわはるちゃんの身体を超えて、出てくる様になり、
実は私にとって何よりもそこが1番嬉しいことかもしれません。





















身体どまりではない表現。

1番難しい事に、まさにチャレンジしてくれていることが、
今回はるちゃんがこの公演に参加してくれた意味ではないかと
個人的に思っています。

そんなはるちゃんのダンスもぜひお楽しみに。




705/菊地











2012年8月14日火曜日

出演者 林七重さんが日記を書いてくれました!


【境界線上に立つ】

今回の「境界線上のヘヴン」に
参加するときに決めたのは、

とにかく無垢に空っぽになって
吸収しよう。ということでした。


自分の踊るときの手応え、
踊り方、価値観、自分に対する見方。
そんなありとあらゆる物を手放して、
全力で挑まなければ尚子さん作品には立てないし、
私も変われない。

これは,以前から思っていた事でした。

そう思っても
不器用ですぐにギンギラアドレナリン放出(笑)な私なので、
人から見れば、結局は私のままなのかもしれないけれど、

私にとっては、
大きな変化だったように思う。

ああーーっ。
もうすぐ本番なんですね〜。
嬉しいのに日々無性に寂しいです。

初めて音がついた時のわくわくした気持ち、
キノコ頭がなかなか伸びてくれなくて困ったり、
女子だけで朝から話し合い、お互い注意しあって練習したり。
衣裳が楽しみでメイドにテンション上がったり、
などなど。

言い尽くせない感謝とこの全てを抱えて、本番に臨みます。


「境界線上のヘヴン」
みなさまに観て頂けたらうれしいです。



林 七重


☆☆☆☆☆☆☆☆




【どん欲の極み 林七重。】



























七ちゃんが705のクラスに来たのは、
数年前に創ったボレロのオーディション前でした。
そのオーディションも見事受かり、その後も705に通う体で、数年あまり。

しかし、沢山のチャンスが欲しくて、経験したくて、
あっちもこっちもな七ちゃんは、
公演がある時は真面目にお稽古に通ってきて全力でやりますが、
日々を通してちゃんと705トレーニングを積み上げる作業というものは、
正直してきませんでした。
いや、本人はしていたつもりかもしれません。
しかし、705ムーブメントはそんな簡単に習得できるものではないのです。

どこまで本気でこの人はやる気があるのだろう?というのが、
ついこの3月までの私の見解でした。

どん欲が悪いわけではありません。
かくゆう私も小学生の時点で師匠から「尚ちゃんはどん欲だからね〜」
と言われておりました。

それだけ真剣に一生懸命ダンスに取り組んでいるからこそと思います。

ただ、私も遊びで作品を創ったり、教えをしているわけではないので、
他を優先させてリハをお休みされても困るし、全力で取り組んでくれる人、
自分の信頼できる人と作品創りはしたいというのが本音なわけです。

今回、七ちゃんはそれらの私の気持ちも分かった上で、参加を決めました。
もしかしたら本人的には沢山チャンスは逃したかもしれません。

でも私は七ちゃんが真剣にこの作品に取り組んでくれている姿に、
今までにない以上の信頼と、愛情と、
これからの七ちゃんの未来を感じております。





















ダンサー全員にとって、どの本番も通過点に過ぎないとは思いますが、
今回の本番も今後の底力になるようなものを何か経験してもらえればと
願っております。

そんな七ちゃん、強い七ちゃんのイメージを持っている人も多いと思いますが、
本当に柔らかく切なく、どんどん素敵になっていき、
私の大好きな何とも言えない表情も(私はそこに七ちゃんの魅力を感じるのです)
沢山お目見えしております。


















真摯に取り組んでそしてゴールまで一緒に駆け抜けてくれる事、
かなり私からキツいことを言われながらもあきらめずに
ムーブメントの模索をしてくれたこと、
七ちゃんに心より感謝してます。

そしてその努力は絶対に七ちゃんの身になっています。即席ではありません。

では、そんな林七重のダンス、表現もお楽しみにしててくださいね。


705 / 菊地








「聞く耳を持つ。」

日曜日には最後のリハーサルを終え、
今週末の本番に向け、体と心を落ち着かせているこの2日間です。

春から始まったリハーサルも、あっという間に夏になり
あれよあれよという間に本番に。


今までの経験上、90分の作品をどれぐらいのペースで仕上げ、
磨きにかける時間も取るかは、分かっていたつもりなので、
少々ハイペースかなとは思いつつも、
この4ヶ月間ダンサーみなさんに走り抜けていただきました。





















今回は私一人で作品を創るということではなく、共同演出に飯名氏、
その他にも音、照明、衣装も作家性を持った方々との作業となり、
今までとは創作方法も、私の作品への構え方も違っていました。

最初の時点でまず今作の自分の想いやら、世界観、お互いに普段感じることなど
たくさん飯名氏と話をしました。





















この時点でお互いにこの作品に対する方向性やイメージに、
根本的なズレはなかった様に思います。
なぜかと今思えば、この作品のやりたい事は、特別なことではなく、
みなさんの中で共通して持っている感覚、普遍的な感覚だからだと思います。

それをどう演出するか。
具体的なやりたいことは私が創ります。
そしてそれを飯名氏が空気感や雰囲気を帯びさせる感じです。

時としてダンサーに一生懸命練習してもらったのに、
飯名氏や、スタッフ陣の意見により、
全カットになってしまった部分もあります。

今までの私なら、作品の確実な青写真を持ってからリハを始めるので、
その様に右往左往することはまずありません。

でも今回一見右往左往している様に見えても、それが必ず自分の中で「腑に落ちる」
意見なため、必ず前に進む要素になってきました。
言われた事により頭の切り替えや、新しいイメージ、より濃い関係性など、
どれもこれも実になることばかりで、作品が一つの世界を創り始めました。

お衣装の川口さんも、川口さんにしかない視点で作品を捕らえ、
まさに広がりを持たせてくれています。



















「ああ〜。聞く耳を持つってことは、こういうことかー。」
というのが、経験を通して得た今回の一番の自分の発見です。

人によっては、「菊地さんだけの世界観の方が好きだわ!」とかあるかもしれません。

しかし、舞台に上げた時に私は絶対に今回このような形で表現できたことを
良かったと思う自信があります。

クマチさんの音、高田さんの照明、それらは私の想像を超えて
舞台上で作品をぐんぐん上げてくれることでしょう。
(現にクマチさんは最終リハ後、音にもかなり満足げな私に対し、
「いやいやこれからっすよ!尚子さん!」と憎い台詞を残して帰っていきました。笑)




























自分だけでは広がらない世界がきっと待っていると思っています。

ああああああ〜、超楽しみでっす!


ぜひみなさんとそんな世界を共有できたらと。
お待ちしております!

705/菊地




2012年8月1日水曜日

出演者 田中麻友美さんについて。

【YOUのがむしゃらって何ですか?】

まゆみ先生が705の門を叩いたのは、3年ぐらい前でしょうか。
ちなみに、まゆみ先生はあだ名です。
大学時代に周りのお友達にそう呼ばれていた様で、
私も引き継がせていただき、そう呼んでます。

幼少よりクラシックバレエを習い、基礎はバッチリと身につけているまゆみ先生。
日芸での大学生活中にコンテンポラリーに移ったわけですが、
何がキッカケなのか、705のスタジオに現れたわけです。

とってもキレイで、静かで、余計なお喋りも殆どしないまゆみ先生。
「どうしてうちに来たのかね〜?」と、ある時聞いてみました。

「自分の殻を破りたいと思ったので」と
かなりの沈黙後、まゆみ先生はそのように答え、
「そんなら、705はうってつけだね!」と私も返答したのと同時に、
こんなに静かであるけど、きっとまゆみ先生は内に秘めて燃えるタイプなのだと
思い込みました。


まだ学生だったまゆみ先生は、本人の意思により大学の卒業公演を蹴って
前回の705公演「The 式典」に参加してもくれました。




















きっと、学校内で毎日お友達が卒業公演目指しワイワイやっているのを横目に
705リハに来なければならなかったのは、
大層辛かったのではないかと察しておりました。


そして前回のカンパニー公演が終わった際に、
「この公演に出れて本当に良かったです」と言ってくれた事や、
よっぽどの事がない限り週3回のお稽古をお休みしないこと、
そして何よりもコンクールの指導などをしながら、
より一層まゆみ先生の魅力を沢山発見できたこと、などなど、
私の中ではまゆみ先生にチャンスをあげたいという気持ちが
大きくなっていったわけです。

そして昨年創った「境界線上のヘヴン」の試作では、
それなりに大人数いる出演者の中で
大切なシーンを担ってもらいました。




















がっっっっっ!!しかーーーーし!!

まああああ、のんびりしていること!!

出来ない動きがあって結構なダメ出しを私から受けていても、
それほどがむしゃらに練習をしないまゆみ先生。
私が言われる立場なら3日間は寝れない精神状態になる感じです。

静かではあるけど感情は豊な人なはずなので、
傷つくことは傷ついていると思うのですが、
それでも大して練習をせず、本番に入って行きました。


その試作も終了後、私はまゆみ先生に
「まゆみ先生にがむしゃらってないの?」という気持ちをぶつけたわけです。
がいーーーんっ!て顔をしておりました。

そして今回、完成版のキャストを悩んでいる最中、
まゆみ先生からメールが来ました。
「今度こそ、がむしゃらになりたいです。」

そんなわけで、まゆみ先生に出演をお願いしたわけですが、
ここ2週間、また動きが出来ていないことを私から叱咤されたわけです。

朝練も自主的にやってがんばっている様ですが、出来ていないものは出来ていない。
辛かったことでしょう。
どうしたらいいのかも、まだ自分で解決はたぶん難しいのだと思います。

後日ダンスミストレスのさつと、ダンサーのあおちゃんが、
すごーく良くアドバイスをしてくれていました。
普段お稽古中から、みんなでアドバイスしあって向上し合って来た仲間です。
本当にありがたく、まゆみ先生も心強かったことでしょう。

そして、数日前の朝10時半から夜9時までのロングリハーサル。
会場の人に先にドアを開けてもらおうと朝8時45分に電話したところ、
「すでに一人女性が来ています」とのこと。

まゆみ先生に違いないと思いました。
そして会場に着いたら、まゆみ先生が一人黙々と練習しておりました。


どうやらまゆみ先生、がむしゃらを手に入れたようです。


そんなまゆみ先生のダンスも表情も、みなさまお楽しみに!!!



705 / 菊地






2012年7月29日日曜日

ダンスミストレス菅原さちゑさんが日記を書いてくれました。

ダブル尚についての考察


ダンスミストレスをしようと思ったのは昨年初めて自分で作品を公演した際に
その制作途中に作家としてディレクション能力の未熟さを痛いほど経験し
今年は自分が思い描く世界を出演者やスタッフ達とどのように共有していくか、
そしてリハーサルのディレクションを方法を開拓していきたいと考えていました。

そんな中、尚子さんが今年の705公演に向けて今までない試みで

準備しているのを見て是非参加したいと思いました。
それは『ひとりで作らない作品作り』です。

(これについては天国対談2をご覧下さい)
これまで尚子さんは振付、演出、音楽、衣装、照明、制作を
すべて一人で考えてやっていたのですが
今回はそれをすべてそれぞれを専門としている作家と共にアイディアを出して

作品を作り上げていくという方法でした。
つまり周りからがんがん意見が出てくるんだけどそれに振り回されてるのか、
それとも作品のビジョンを持ちつつそこをどう周りの意見を
受け入れて膨らましていくのか。
まさに今、私が模索したい事をこんな身近な人が実践しようとしているのに

参加しないのは馬鹿だ!!と思い速攻で志願し
晴れて今回ダンスミストレスという使命を担う事になりました。

リハが始まって感じたのは尚子さんと共同演出家の飯名さんが
(意外と?!)良いタッグな事です。
ふわーっとして見えるけど意外とアツい尚子さん。
理論派だけど意外とロマンチックな飯名さん。
これまでのバックグランドや作品の制作方法、物事の考え方までまったく違う2人が
どのように共同で演出していくのか、途中で大喧嘩になって崩壊するんじゃないかと
内心思ってたりしたのですが2人が作品について話しているのを聞いて
そんな心配はすっとびました。
この作品で目指しているビジョンが2人の中でしっかりと共有できているのが
感じ取れたからです。
作品制作では「フィーリング」と「言葉」の両方を積み重ねていかないとならないと
私は考えているのですがそれを今回2人はそのレイヤーを丁寧に重ねています。


制作現場でもお互いに任せるポイントみたいのが分かってるらしく、
お互いの作品の組み上げ方も理解した上で共同で作業していく方法も
すでにお互い認識しているものがあるようでした。
今日のリハでも演出についてダンサー達に話していたのですが、
2人の話のバトンの受け渡しが見事で熟年夫婦のようでした。
作品は日々刻々と変化していっている途中でして、
まだまだこれから最後の詰め作業に向けて2人が更なる熱いバトルを繰り広げながら
積み上げていくのを最後まで見届けたいと思います。



その制作過程をチラ見しつつ、私はこの作品でダンスミストレスとしての使命を

果たさなければならないのですが
今回、自分に課せた目標は公演を見た人が「705の踊りは○○だった」とか

「705カンパニーにしかない動きだねー」という印象が残るようにする事です。
実はこれまでの公演で何度か「尚子さんの動きがダンサー達に伝わっていない」
と言った悔しい感想があったりしたので今回はその印象を払拭したいです。
いや、します。

705ムーヴメントに興味がある方も、無い方も
菊地尚子、飯名尚人のどちらかしか知らない人も、両方知っている人も、

もちろん両方知らなくても
ダブル尚(尚子と尚人)の世界が掛け合わさった時にどんなものが生まれるのか

是非多くの人に見て感じて貰いたいです。




ダンスミストレス/菅原さちゑ

2012年7月28日土曜日

出演者 乾直樹さんについて。

今回の男性出演者2人目は
乾直樹さん、通称いぬぱん。






















作品に出演していただくのも一緒に踊るのも、今回初めてです。

今まで日本でいぬぱんが踊っている所は何度も目にしてまいりましたが、
じつは一度も接点がなく、
いぬぱんが在外研修員としてNYで研修中、私もお世話になっていた
Nathan Triceという振付家の作品にいぬぱんが出演していたという所から、
私の中で一気に距離が縮まったように感じたわけです。

また、前回の705カンパニー公演にそのNathanも出演してくれていたので、
いぬぱんはお手伝いにも来てくれたりしておりました。

そして今回出演依頼をいぬぱんにした際、
リハーサル回数のこと、出演料のことなどもろもろを
いぬぱんが自分の状況をちゃんと把握した上でよく考えて返事をくれて、
その実直な姿勢に、「ああ、本当に誠実に向かってくれる人だな」と
やりとりだけで既に感じておりました。

出演が正式に決まった際には、「全身全霊で挑みます」とのお返事。
どんなけその時私が心強い気持ちになったことかと、今でも有り難く思ってます。


さて今作の第1回目のリハは、「Human」と名付けているシーンからでした。
このシーンは、私にとって新しい試み。


しかもダンサー達の所作によって、いいものになるかどうかも、
大きく分かれてしまう難しいシーンです。
表したい事も大変偏った世界観なので、理解して各自消化してもらわないと、
陳腐なものになってしまう可能性があります。
しかも時間的にも長めなので大変集中力が必要です。


そしてそのシーンを大きく担っているのがいぬぱん。


最初のリハで、私がやりたいことをいぬぱんに伝えて具体的に動いてもらった時、
思わず、「あああああああ!いぬぱんに頼んで良かったよ!!!!」と
すでに言葉にしておりました。


「本番が終わった際にも尚子さんに同じ事を言ってもらえるよう、がんばります」
そんなコメントを返してくるいぬぱん。


ダンスシーンも、一生懸命練習をしてくれて、
リハーサルでは誠実な態度で、終始参加してくれて、
そして、何よりもいい動きをするいぬぱん。

私は全世界中の振付家に大声で言いたい。
「いぬぱん、いいでっせーーーーー!!!」


そんなパーフェクトに見えるいぬぱん。
一応自分が思ういぬぱんへのダンスアドバイスも伝えつつ
リハーサルをしております。

それを本番までどう消化してきてくれるか。
偉そうな言い方になっちゃうけど、
そこが今回いぬぱんが私の作品に出た意味になるのではないかなと、
個人的に思っております。


そんな大人ないぬぱんもお楽しみに。

705/菊地







2012年7月27日金曜日

出演者西村葵さんが日記を書いてくれました!


こんにちは、ダンサーの西村葵です。


本番まで一ヶ月をきり、リハーサルも細かいところまで眼がいくようになりました。

パズルのピースがはまるようにシーンが出来上がっていく過程は、それに対応するのは大変ではありますが、やり甲斐もあり表現者としての腕の見せどころでもあると思って挑んでいます。

通し稽古が始まり、毎回毎回、新しい発見があります。
今までは踊ることでいっぱいいっぱいでしたが今はシーンが進むにつれて自分のそのときに湧き出る感情や感覚を大事にしています。

全て決められていない中で、どのように空間を埋めていくのか、その時、その場所で、その瞬間、どう動き、どう存在するのか。
難しくもあり、楽しみでもあります。
うん、楽しい。かな。

そんな空間と時間をお客様にもおとどけできたらと思っています。


自分の都合で、沢山のサポートを尚子さんはじめダンスミストレスのさっちゃん、ともさん、そして家族に感謝しながら本番までの残りの日々を駆け抜けます。

  ダンサー西村葵

  ☆☆☆☆☆


西村葵さんについて。

あおちゃんこと、西村葵さんとの出会いはNYに留学中です。
あおちゃんより一足お先に日本に帰国した私は、ふじみ野市にスタジオを構え、
教えを再開してました。

住まいが川越市のあおちゃんは、
帰国後から705のクラスを受けに来てくれたわけです。
毎回作品にも出てもらい、同じ建物でやっている兄の整骨院で受付のバイトまで
してくれて、そして、いつの間にか兄の嫁に!!笑

家族という関係にまで発展したあおちゃんは、
私にとって心強い味方となりました。
  どうにもこうにも悲しいことや悩ましい事が起こった時には、
  あおちゃんにも聞いてもらい、スッキリする事も多々あります。

  そして何よりも705カンパニーメンバーとして、
  頼れるダンサーとなっていきました。
  
  そんな折りに、あおちゃんと兄の間にめでたき第一子誕生。
  昨年秋に初出産。

  
  去年のあおちゃん、バリバリ妊婦でした。 
   
そして今、あおちゃんはバリバリダンサーであり、バリバリお母さんです。

産後1年未満で、まさかここまでストイックな復活を遂げるとは、心の底より尊敬します。

ダンスばっかの人生だった私には、とんでもないパワーと意思をもって家庭とダンスとを両立しているあおちゃんをこの先見習って行きたいと思ってます。


そんな西村葵さんに私がつけたキャッチコピーは「ミセス疾風」です。
空間を風の様にかけぬけるあおちゃんを、ぜひ楽しみにしていてください。

 
705/菊地 

2012年7月15日日曜日

今週は盛りだくさん!

今週は

作品の宣伝PV第1弾撮影から
暑い中、飯名氏が撮影してくれました。














菊地宅に演出陣お集まりいただきミーディング
衣装の川口さんが持って来てくれた参考資料











カントリーマームを机に見立て
説明する共同演出の飯名氏
メモる音担当のクマッチ














朝9時から夜9時までの12時間リハおよび初通し稽古


相当汗をかいたので、みな前髪がぺったり














机と椅子のペンキ塗り
 滑り止め作成
 机はまっ白、足は黒い
手伝ってくれた舞台監督のシロサキさんとあおちゃんに感謝


















かなりハードで濃密な週になっております。

作品自体もシーンの入れ替えなど変化を遂げ始め、
より一層絶妙な仕上がりになるよう、
ここからの1ヶ月が勝負です!!

みなさんに、素敵な世界がお届けできるよう。

705 / 菊地

2012年7月7日土曜日

鈴木陽平君について。

今回ゲストに男性ダンサーを3人頼みました。


その中の一人、売れっ子ダンサー鈴木陽平くん。
超多忙な鈴木君にお願いするには、色々な意味で勇気がいりました。


その一つにまず、それほど親しい仲ではないこと。
ちゃんと一緒に踊ったことも一度もなく、
その上彼は、いわゆるイケメンなのであります。
なぜかイケメンに対して身構えるというか、壁を作ってしまう自分。。。


しかし、今まで何度か鈴木君のダンスを見る機会があり、
なによりも「カラダのキワ」まで行く瞬間を何度か目にし、
そのキワが私にとって大層魅力的な印象として残っておりました。


今回のあるシーンを考えた時、これは鈴木君に踊ってもらえたら!!と
ピピピピピーとイメージが走り、勇気を出してオファーしたわけです。
そして、「ぼくも尚子さんの世界に入ってみたいです」と
ありがたい承諾を得て、出演が決定!!
たいへん嬉しかったです。


しかし、自分の中にあるイケメン恐怖症を克服せねば、
せっかく得た機会を無駄にしてしまうかねない、、、と自覚し、
ガチンコでちゃんとリハーサルに入れるよう、
まずぶっちゃける機会を作りました。


「45分間ふたりで完全即興」


705スタジオではありますが、お客さんも入っている中
一度も踊ったことのない相手と開演10分前に集合し、
二人だけで45分間完全即興をしたわけです。


おたがい舞踊家なので、お喋りよりもカラダをぶつけ合った方が早い気がしたのです。



























おかげさまでイケメン恐怖症は無事に克服できました。
これで抵抗なくリハに入れる準備ができたわけです。笑




そして4月から始まったヘヴンリハ。
呼び方も思いきって「よーちゃん」に変え、
よーちゃんに担ってもらうシーンはとにかく大変だと重々承知しながらも、
毎回のリハで、ああだこうだと模索してもらっております。
よーちゃんとお相手の池田美佳ちゃんのカラダと感情が
空間のキワまでいきまくる、そんなシーンを目指しております。






















模索中の二人。






ただ今の私の悩みは、よーちゃんが忙し過ぎて、
積み上げたカラダの感覚を他の本番を終えてこちらのリハに戻って来た時に、
ゼロにリセットされてしまっていること。笑


本人にもお伝えしたんで、きっとここから本番までの1ヶ月で「ぐおおおおお!!」と
行ってくれるに違いないと信じております。


私がこのシーンでやりたいことに対するの面持ち、表現はすでにいい感じなので
あとはカラダを積み上げて行った先に、また一層の深みが増していることと想像し、
ワクワクしております。




















リハ後の二人。大変おつかれさま。




そんなよーちゃんのダンスも、みなさんお楽しみに!!!




705 / 菊地





2012年7月4日水曜日

ムーブメントの追求


今日より本番までのヘヴンリハの内容や、想い、ダンサーの紹介、
演出側のもろもろなど、綴っていけたらと。




本日のリハは、女性ダンサーのみのリハーサル。
まさにダンスがメインのシーンの練習をしました。













腕を負傷中の池田美佳ちゃん



女性ダンサーは皆、かれこれ数年に渡り共に
705ムーブメントを模索し続けてくれている心強いメンバーです。

私自身、この10年ぐらいダンス自体のムーブメントに大変興味を持って模索してきました。
そのムーブメントは、脱力とコネクトと重力に焦点を置き、
いかに効率よく空間にエネリギーを放ち、うねる様なグルーヴ感を出せるか。

そのために、重心の移動、骨のつながりを大切にして動きの振付けもしています。
そもそも体に力が入っていると、骨自体は動きづらくなってしまうので、
極力無駄な力は抜きます。(つま先もキュッとは伸ばしません!笑)

また動く際、重力や瞬発力を駆使しリバウンドを取ることにより、
効率よくエネルギーをつないでムーブメントに躍動感が出ることを意識しています。
(イメージとしては、ボールを床に投げつければちゃんと跳ね返えるという
極当たり前の現象です。)

大きな特徴と言えば、つむじが空間の四方八方に動いている感じでしょうか。
まっとうに頭を起こして踊ることはあまりないので、常に全身で動き続ける感じです。
新しい生徒さんがクラスを受けにくると、たまに三半規管が弱い方などは
具合が悪くなったりもします。

日頃からそれらの動き方をああだこうだと模索し、
体と向き合いトレーニングしてきました。


作品となるとそれらの動きを空間でどのように展開するかまで
意識を広げなくてはなりません。
動きどまりで終わることのないよう、シーンのイメージや雰囲気を共有し、
表現に転換できるよう私も言葉を使って伝えたりします。

しかしそれぞれ頭で分かっていても、
表現がダンスを超えて体の毛穴からにじみ出てくるようになるには、
それはそれは時間がかかります。

小手先でない所で「心と体が一致する」ことのとんでもない大変さ。

でも私がダンスをやってきてその部分の難しさを痛感するからこそ、
常に挑戦するべきだと思ってやっています。
私自身もまだまだなので、毎回踊るときは「ぐおおおおおお!」と集中して挑みます。

時間がかかるなら時間をかけてでも、素敵なものになるよう努力するしかないので、
2年間の試作をしてきました。















試作した時の写真です



今日のリハでもだいぶいい感じです!!!
でもでも、もうふた頑張りです!!

出演者のみなさん、えいえいおー!!です。

そしてそんな705ムーブメントにも興味を持っていただいて、
みなさまに見に来ていただけたら幸いです。

705/菊地