2012年7月29日日曜日

ダンスミストレス菅原さちゑさんが日記を書いてくれました。

ダブル尚についての考察


ダンスミストレスをしようと思ったのは昨年初めて自分で作品を公演した際に
その制作途中に作家としてディレクション能力の未熟さを痛いほど経験し
今年は自分が思い描く世界を出演者やスタッフ達とどのように共有していくか、
そしてリハーサルのディレクションを方法を開拓していきたいと考えていました。

そんな中、尚子さんが今年の705公演に向けて今までない試みで

準備しているのを見て是非参加したいと思いました。
それは『ひとりで作らない作品作り』です。

(これについては天国対談2をご覧下さい)
これまで尚子さんは振付、演出、音楽、衣装、照明、制作を
すべて一人で考えてやっていたのですが
今回はそれをすべてそれぞれを専門としている作家と共にアイディアを出して

作品を作り上げていくという方法でした。
つまり周りからがんがん意見が出てくるんだけどそれに振り回されてるのか、
それとも作品のビジョンを持ちつつそこをどう周りの意見を
受け入れて膨らましていくのか。
まさに今、私が模索したい事をこんな身近な人が実践しようとしているのに

参加しないのは馬鹿だ!!と思い速攻で志願し
晴れて今回ダンスミストレスという使命を担う事になりました。

リハが始まって感じたのは尚子さんと共同演出家の飯名さんが
(意外と?!)良いタッグな事です。
ふわーっとして見えるけど意外とアツい尚子さん。
理論派だけど意外とロマンチックな飯名さん。
これまでのバックグランドや作品の制作方法、物事の考え方までまったく違う2人が
どのように共同で演出していくのか、途中で大喧嘩になって崩壊するんじゃないかと
内心思ってたりしたのですが2人が作品について話しているのを聞いて
そんな心配はすっとびました。
この作品で目指しているビジョンが2人の中でしっかりと共有できているのが
感じ取れたからです。
作品制作では「フィーリング」と「言葉」の両方を積み重ねていかないとならないと
私は考えているのですがそれを今回2人はそのレイヤーを丁寧に重ねています。


制作現場でもお互いに任せるポイントみたいのが分かってるらしく、
お互いの作品の組み上げ方も理解した上で共同で作業していく方法も
すでにお互い認識しているものがあるようでした。
今日のリハでも演出についてダンサー達に話していたのですが、
2人の話のバトンの受け渡しが見事で熟年夫婦のようでした。
作品は日々刻々と変化していっている途中でして、
まだまだこれから最後の詰め作業に向けて2人が更なる熱いバトルを繰り広げながら
積み上げていくのを最後まで見届けたいと思います。



その制作過程をチラ見しつつ、私はこの作品でダンスミストレスとしての使命を

果たさなければならないのですが
今回、自分に課せた目標は公演を見た人が「705の踊りは○○だった」とか

「705カンパニーにしかない動きだねー」という印象が残るようにする事です。
実はこれまでの公演で何度か「尚子さんの動きがダンサー達に伝わっていない」
と言った悔しい感想があったりしたので今回はその印象を払拭したいです。
いや、します。

705ムーヴメントに興味がある方も、無い方も
菊地尚子、飯名尚人のどちらかしか知らない人も、両方知っている人も、

もちろん両方知らなくても
ダブル尚(尚子と尚人)の世界が掛け合わさった時にどんなものが生まれるのか

是非多くの人に見て感じて貰いたいです。




ダンスミストレス/菅原さちゑ

2012年7月28日土曜日

出演者 乾直樹さんについて。

今回の男性出演者2人目は
乾直樹さん、通称いぬぱん。






















作品に出演していただくのも一緒に踊るのも、今回初めてです。

今まで日本でいぬぱんが踊っている所は何度も目にしてまいりましたが、
じつは一度も接点がなく、
いぬぱんが在外研修員としてNYで研修中、私もお世話になっていた
Nathan Triceという振付家の作品にいぬぱんが出演していたという所から、
私の中で一気に距離が縮まったように感じたわけです。

また、前回の705カンパニー公演にそのNathanも出演してくれていたので、
いぬぱんはお手伝いにも来てくれたりしておりました。

そして今回出演依頼をいぬぱんにした際、
リハーサル回数のこと、出演料のことなどもろもろを
いぬぱんが自分の状況をちゃんと把握した上でよく考えて返事をくれて、
その実直な姿勢に、「ああ、本当に誠実に向かってくれる人だな」と
やりとりだけで既に感じておりました。

出演が正式に決まった際には、「全身全霊で挑みます」とのお返事。
どんなけその時私が心強い気持ちになったことかと、今でも有り難く思ってます。


さて今作の第1回目のリハは、「Human」と名付けているシーンからでした。
このシーンは、私にとって新しい試み。


しかもダンサー達の所作によって、いいものになるかどうかも、
大きく分かれてしまう難しいシーンです。
表したい事も大変偏った世界観なので、理解して各自消化してもらわないと、
陳腐なものになってしまう可能性があります。
しかも時間的にも長めなので大変集中力が必要です。


そしてそのシーンを大きく担っているのがいぬぱん。


最初のリハで、私がやりたいことをいぬぱんに伝えて具体的に動いてもらった時、
思わず、「あああああああ!いぬぱんに頼んで良かったよ!!!!」と
すでに言葉にしておりました。


「本番が終わった際にも尚子さんに同じ事を言ってもらえるよう、がんばります」
そんなコメントを返してくるいぬぱん。


ダンスシーンも、一生懸命練習をしてくれて、
リハーサルでは誠実な態度で、終始参加してくれて、
そして、何よりもいい動きをするいぬぱん。

私は全世界中の振付家に大声で言いたい。
「いぬぱん、いいでっせーーーーー!!!」


そんなパーフェクトに見えるいぬぱん。
一応自分が思ういぬぱんへのダンスアドバイスも伝えつつ
リハーサルをしております。

それを本番までどう消化してきてくれるか。
偉そうな言い方になっちゃうけど、
そこが今回いぬぱんが私の作品に出た意味になるのではないかなと、
個人的に思っております。


そんな大人ないぬぱんもお楽しみに。

705/菊地







2012年7月27日金曜日

出演者西村葵さんが日記を書いてくれました!


こんにちは、ダンサーの西村葵です。


本番まで一ヶ月をきり、リハーサルも細かいところまで眼がいくようになりました。

パズルのピースがはまるようにシーンが出来上がっていく過程は、それに対応するのは大変ではありますが、やり甲斐もあり表現者としての腕の見せどころでもあると思って挑んでいます。

通し稽古が始まり、毎回毎回、新しい発見があります。
今までは踊ることでいっぱいいっぱいでしたが今はシーンが進むにつれて自分のそのときに湧き出る感情や感覚を大事にしています。

全て決められていない中で、どのように空間を埋めていくのか、その時、その場所で、その瞬間、どう動き、どう存在するのか。
難しくもあり、楽しみでもあります。
うん、楽しい。かな。

そんな空間と時間をお客様にもおとどけできたらと思っています。


自分の都合で、沢山のサポートを尚子さんはじめダンスミストレスのさっちゃん、ともさん、そして家族に感謝しながら本番までの残りの日々を駆け抜けます。

  ダンサー西村葵

  ☆☆☆☆☆


西村葵さんについて。

あおちゃんこと、西村葵さんとの出会いはNYに留学中です。
あおちゃんより一足お先に日本に帰国した私は、ふじみ野市にスタジオを構え、
教えを再開してました。

住まいが川越市のあおちゃんは、
帰国後から705のクラスを受けに来てくれたわけです。
毎回作品にも出てもらい、同じ建物でやっている兄の整骨院で受付のバイトまで
してくれて、そして、いつの間にか兄の嫁に!!笑

家族という関係にまで発展したあおちゃんは、
私にとって心強い味方となりました。
  どうにもこうにも悲しいことや悩ましい事が起こった時には、
  あおちゃんにも聞いてもらい、スッキリする事も多々あります。

  そして何よりも705カンパニーメンバーとして、
  頼れるダンサーとなっていきました。
  
  そんな折りに、あおちゃんと兄の間にめでたき第一子誕生。
  昨年秋に初出産。

  
  去年のあおちゃん、バリバリ妊婦でした。 
   
そして今、あおちゃんはバリバリダンサーであり、バリバリお母さんです。

産後1年未満で、まさかここまでストイックな復活を遂げるとは、心の底より尊敬します。

ダンスばっかの人生だった私には、とんでもないパワーと意思をもって家庭とダンスとを両立しているあおちゃんをこの先見習って行きたいと思ってます。


そんな西村葵さんに私がつけたキャッチコピーは「ミセス疾風」です。
空間を風の様にかけぬけるあおちゃんを、ぜひ楽しみにしていてください。

 
705/菊地 

2012年7月15日日曜日

今週は盛りだくさん!

今週は

作品の宣伝PV第1弾撮影から
暑い中、飯名氏が撮影してくれました。














菊地宅に演出陣お集まりいただきミーディング
衣装の川口さんが持って来てくれた参考資料











カントリーマームを机に見立て
説明する共同演出の飯名氏
メモる音担当のクマッチ














朝9時から夜9時までの12時間リハおよび初通し稽古


相当汗をかいたので、みな前髪がぺったり














机と椅子のペンキ塗り
 滑り止め作成
 机はまっ白、足は黒い
手伝ってくれた舞台監督のシロサキさんとあおちゃんに感謝


















かなりハードで濃密な週になっております。

作品自体もシーンの入れ替えなど変化を遂げ始め、
より一層絶妙な仕上がりになるよう、
ここからの1ヶ月が勝負です!!

みなさんに、素敵な世界がお届けできるよう。

705 / 菊地

2012年7月7日土曜日

鈴木陽平君について。

今回ゲストに男性ダンサーを3人頼みました。


その中の一人、売れっ子ダンサー鈴木陽平くん。
超多忙な鈴木君にお願いするには、色々な意味で勇気がいりました。


その一つにまず、それほど親しい仲ではないこと。
ちゃんと一緒に踊ったことも一度もなく、
その上彼は、いわゆるイケメンなのであります。
なぜかイケメンに対して身構えるというか、壁を作ってしまう自分。。。


しかし、今まで何度か鈴木君のダンスを見る機会があり、
なによりも「カラダのキワ」まで行く瞬間を何度か目にし、
そのキワが私にとって大層魅力的な印象として残っておりました。


今回のあるシーンを考えた時、これは鈴木君に踊ってもらえたら!!と
ピピピピピーとイメージが走り、勇気を出してオファーしたわけです。
そして、「ぼくも尚子さんの世界に入ってみたいです」と
ありがたい承諾を得て、出演が決定!!
たいへん嬉しかったです。


しかし、自分の中にあるイケメン恐怖症を克服せねば、
せっかく得た機会を無駄にしてしまうかねない、、、と自覚し、
ガチンコでちゃんとリハーサルに入れるよう、
まずぶっちゃける機会を作りました。


「45分間ふたりで完全即興」


705スタジオではありますが、お客さんも入っている中
一度も踊ったことのない相手と開演10分前に集合し、
二人だけで45分間完全即興をしたわけです。


おたがい舞踊家なので、お喋りよりもカラダをぶつけ合った方が早い気がしたのです。



























おかげさまでイケメン恐怖症は無事に克服できました。
これで抵抗なくリハに入れる準備ができたわけです。笑




そして4月から始まったヘヴンリハ。
呼び方も思いきって「よーちゃん」に変え、
よーちゃんに担ってもらうシーンはとにかく大変だと重々承知しながらも、
毎回のリハで、ああだこうだと模索してもらっております。
よーちゃんとお相手の池田美佳ちゃんのカラダと感情が
空間のキワまでいきまくる、そんなシーンを目指しております。






















模索中の二人。






ただ今の私の悩みは、よーちゃんが忙し過ぎて、
積み上げたカラダの感覚を他の本番を終えてこちらのリハに戻って来た時に、
ゼロにリセットされてしまっていること。笑


本人にもお伝えしたんで、きっとここから本番までの1ヶ月で「ぐおおおおお!!」と
行ってくれるに違いないと信じております。


私がこのシーンでやりたいことに対するの面持ち、表現はすでにいい感じなので
あとはカラダを積み上げて行った先に、また一層の深みが増していることと想像し、
ワクワクしております。




















リハ後の二人。大変おつかれさま。




そんなよーちゃんのダンスも、みなさんお楽しみに!!!




705 / 菊地





2012年7月4日水曜日

ムーブメントの追求


今日より本番までのヘヴンリハの内容や、想い、ダンサーの紹介、
演出側のもろもろなど、綴っていけたらと。




本日のリハは、女性ダンサーのみのリハーサル。
まさにダンスがメインのシーンの練習をしました。













腕を負傷中の池田美佳ちゃん



女性ダンサーは皆、かれこれ数年に渡り共に
705ムーブメントを模索し続けてくれている心強いメンバーです。

私自身、この10年ぐらいダンス自体のムーブメントに大変興味を持って模索してきました。
そのムーブメントは、脱力とコネクトと重力に焦点を置き、
いかに効率よく空間にエネリギーを放ち、うねる様なグルーヴ感を出せるか。

そのために、重心の移動、骨のつながりを大切にして動きの振付けもしています。
そもそも体に力が入っていると、骨自体は動きづらくなってしまうので、
極力無駄な力は抜きます。(つま先もキュッとは伸ばしません!笑)

また動く際、重力や瞬発力を駆使しリバウンドを取ることにより、
効率よくエネルギーをつないでムーブメントに躍動感が出ることを意識しています。
(イメージとしては、ボールを床に投げつければちゃんと跳ね返えるという
極当たり前の現象です。)

大きな特徴と言えば、つむじが空間の四方八方に動いている感じでしょうか。
まっとうに頭を起こして踊ることはあまりないので、常に全身で動き続ける感じです。
新しい生徒さんがクラスを受けにくると、たまに三半規管が弱い方などは
具合が悪くなったりもします。

日頃からそれらの動き方をああだこうだと模索し、
体と向き合いトレーニングしてきました。


作品となるとそれらの動きを空間でどのように展開するかまで
意識を広げなくてはなりません。
動きどまりで終わることのないよう、シーンのイメージや雰囲気を共有し、
表現に転換できるよう私も言葉を使って伝えたりします。

しかしそれぞれ頭で分かっていても、
表現がダンスを超えて体の毛穴からにじみ出てくるようになるには、
それはそれは時間がかかります。

小手先でない所で「心と体が一致する」ことのとんでもない大変さ。

でも私がダンスをやってきてその部分の難しさを痛感するからこそ、
常に挑戦するべきだと思ってやっています。
私自身もまだまだなので、毎回踊るときは「ぐおおおおおお!」と集中して挑みます。

時間がかかるなら時間をかけてでも、素敵なものになるよう努力するしかないので、
2年間の試作をしてきました。















試作した時の写真です



今日のリハでもだいぶいい感じです!!!
でもでも、もうふた頑張りです!!

出演者のみなさん、えいえいおー!!です。

そしてそんな705ムーブメントにも興味を持っていただいて、
みなさまに見に来ていただけたら幸いです。

705/菊地